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「How to hide my Cryptocurrencies」

暗号資産、一般的に仮想通貨(Cryptocurrencies)はインターネット上などのウォレットと呼ばれる場所に保管され、所有を証明するパスワードが「秘密鍵」と呼ばれる「3P2HNUd5VUPLMQkJmctTPEeeHumiPN2GkT」の様な文字の羅列と、「復号鍵」と呼ばれるウォレットを丸ごと復元することが可能な複数の単語がある。

 

この作品ではランダムに生成された復号鍵15単語「know elder bubble utility witness unhappy ribbon wink good scatter buyer situate actual horse inherit」をそれぞれブック15冊のタイトルとした。鑑賞者はタイトルを順に入力する事で、作者が事前に用意したウォレットへアクセス可能である。ウォレットには実際に暗号資産が入っており、レートは日々変動する。

 

復号鍵はパスワードであるため、ひとつでも単語の順番が入れ替わってはならない。ランダムな意味の無い単語、すなわちタイトルを必ず順番に並べ替えることが出来る様に、私が決して忘れることのない記憶の中でも「場所」を関連付けた。

 

例えば 1番目の単語knowをタイトルにしたブックは「5歳の誕生日を過ごしたフィリピン」を撮影した。フィリピンのバギオと、さらに車で5時間ほど進んだ山奥にある教会兼孤児院である。当時は電気もガスもなく、夜はランプを灯すという環境であった。言葉も全く通じない中、みんなに祝ってもらった記憶は生涯忘れることがないだろう。

 

この様に「16歳からずっと好きな歌手の国アイスランド」「高校の卒業旅行で行った沖縄」「東日本大震災の時に住んでいたシンガポール」など忘れることのない「場所」である10カ国15箇所を撮り下ろし、時系列に並べ、それぞれのブックとした。これらは本来ならば作者の「私のみ」が並び替えることが出来る。

 

復号鍵は本来であれば、決して他人に知られてはならない。復号鍵の安全な保管方法はハッキングを避けるためオフライン、つまり脳で記憶することや、アナログ的に書き記すことが推奨されている。ブロックチェーンなどどれだけ技術が発達しても、この事実にちぐはぐさを感じたこと、また自分ならどのように復号鍵を誰にも分からない様に隠すだろうか?という実体験が制作のきっかけである。

 

音楽家なら音楽に、写真家ならば写真に。

私たちの身の回りにあるものは何かのパスワードかもしれない。